3DAモデル vs. 労働生産性

3DAモデル vs. 労働生産性

TEL.03-6853-6659

〒130-0013 東京都墨田区錦糸1-2-1

3DAモデル vs. 労働生産性

3DAモデル vs. 労働生産性

▼ 3DAモデル:日本 vs. ドイツ

日本国内では3DAモデルの活用化が叫ばれていますが、複雑なサプライヤーチェーンがあり進展がありません。自動車業界においては情報伝達媒体の約80%が紙図面です。経済協力開発機構(OECD)が2013年の労働生産性を比較した結果があります。ドイツと日本を比較した場合にドイツは労働時間が約20%も短いのに労働生産性は20%も上回っていて毎年その差が開く傾向にあります。ダイムラー社は、3DAモデルの活用運用を本格化し労働生産性が向上したため2015年に車種を倍増するとの発表がありました。要するにダイムラー社は3DAモデル(デジタル)の活用化により労働生産性を倍化したことになります。しかもハイエンドCAD端末数を減らすことでCAD端末のコストダウンは30%減に成功しています。設計後の後行程は、3DAモデルによるデジタル化により設計CAD端末を入れ替えても製造工程には影響がない工場を実現しています。つまり3次元CADへの依存を薄めることで安定した製造環境の構築を行っています。2013年頃の労働生産性のドイツ vs. 日本は、1 : 0.67位だったのが、このままだと1 : 0.33程度に開く可能性があります。


▼ 日本のモノづくりは効率が悪い(労働生産性は先進国最低レベル)

労働生産性は、GDPを労働時間で割って算出されます。同じGDPであれば労働時間が短い方が労働生産性が高いことになります。因みにOECD加盟国33カ国中で労働生産性の順位はドイツが6位で日本は21位です。日本の労働生産性は、ドイツより34%低く2003年ー2013年間の伸び率もドイツが44%で日本が34%となっています。今後、3DAモデルの活用化が遅れればさらに差が開くと予想されます。


▼ 国民 1 人当たり GDP の国際比較(2012年 18位、2016年 28位)

経済的豊かさでみると日本が国際的にどのような位置づけにあるのかについて、国民1人当たり国内総生産(GDP)からみていきたい。国民1人当たりGDPは、人口国内総生産 国民1人当たりGDP=国民総生産/人口によって算出される。国民1人当たりGDPを各国通貨から換算するにあたっては、OECDが発表する購買力平価 (Purchasing powerparity/PPP)を用いている。先進34カ国で構成されるOECD(経済協力開発機構)加盟諸国の、2012年の国民1人当たりGDPをみると、第1位はルクセンブルク(91,378ドル/968万円)であった。以下、ノルウェー(65,638ドル/696万円)、スイス(53,733ドル/569万円)、米国(51,689ドル/548万円)といった国が上位に並んでいる。2012年時点で日本の国民1人当たりGDPは、35,203ドル(373万円)で、34カ国中第18位となっている。現在は、28位で2017年には韓国に抜かれる予想です。

労働生産性グラフ

▼ 日本の製造業に適した3DAモデルとは

日本では、紙図面が契約書の役目をしていたり現場作業に必要だったりします。従ってXML+JT+簡易図面(PDF)が適していると思います。3Dで形状表現することは一般的な寸法は含まれていますので簡易図面は、公差や加工方法、注意点など3Dで表現できないものを記載します。


ドイツの3DAモデル化について

▼ 目的は、CAD端末数削減・工数削減・設計資産の保全

欧州の自動車メーカでのJTフォーマットによる3DAモデル運用プロセスイメージです。青い部分は、3次元CADフォーマットで運用、オレンジ部分は、JTフォーマット運用するイメージです。時間軸は左から右に流れ設計が成熟していくにつれて3次元CADフォーマットは無くなり3次元CADへの依存性も薄れていきます。欧州の3DAモデル化の目的は、図面作成の工数削減と3Dデータの保全にあります。3次元CADフォーマットで運用した場合に3次元CADのバージョンアップや買収等によって生データが読めなくなる場合があり、変換作業により膨大な工数が発生したりデータロスが発生する可能性があります。従って早い段階で出図イベントで3DAモデル化をして後行程で3Dデータの有効活用、長期保存を行っています。設計変更は、主にJTフォーマットに対するダイレクトモデリングを多用します。VDAでは、変換された3DAモデル(JT)が正として運用していますので3次元3Dデータとの同一性は考える必要がありません。後工程はすべてJTフォーマットを加工して運用しています。

3DAモデルの運用
Source: JT Format (ISO 14306) and AP 242 (ISO 10303) By ProSTEP

▼ 3DAモデル化の要素技術

ドイツは3DAモデルをJTフォーマットで運用しています。3次元CADは形状作成のみとし3次元CADに対する依存性がかなり低くなっています。ハイエンドCADでモデリング(設計)を行い、JTフォーマットに変換した後は、JTフォーマットが読めるミッドレンジCADで設計変更を行い、JTフォーマットで保存することを行っています。ハイエンドCADで行う設計プロセスをCADベース、JTフォーマットを活用して行うプロセスをJTベースと読んでいます。このことにより3次元CADのランニングコストが激減します。JTベースのプロセスとしてボディ面の自動オフセット、自動車1台分の干渉チェック、シミュレーション向けデータの軽量化、梱包設計向けデータの軽量化をPDMのイベントから自動処理を行っています。必要性の問題はありますが、ポルシェ社では自動車1台分の設計データに対して設計差分検証を行っています。要するにそれだけのパフォーマンスがあるということです。おそらくやりたくても日本の自動車メーカでは不可能でしょう。設計差分検証は、設計変更があった場合に変更面を抽出し取引先に金型を削るのか盛るのかを明示することで納期短縮やコスト削減につなげます。3DAモデル時代には、なくてはならないです。BMW社では、外板プレス金型を測定し元データと比較検証で摩耗を調べ肉盛りを行い、NCで加工しロボットで磨いています。最近、驚いたテクノロージーとして3Dデータのハイブリット化があります。例えばハーネス設計は、周辺の設計データが習熟したタイミングで行うためデータ量が多くなり、必然的に3次元CADのパフォーマンスが落ち、最終的には設計工数が掛ります。3Dデータのハイブリット化はこの問題を解決しています。CATIA V5には、BrepとCGR情報がありますが、設計モードではBrepを使用し表示モードではCGRを使用します。要するにCGRデータは表示的に軽いわけです。ハイブリット化は、Brep情報をBrepとCGRに分割します。Brepは、平面や円筒、円錐面、トーラス面などハーネスをクリップするのに必要な面をBrepとしてそれ以外をCGRとします。このデータをCATProductにBrepとCGRとしてぶら下げ、表示的に軽いデータでハーネス設計を行います。設計変更時も大きな問題は発生しません。3次元CADでソリッドデータをアップデートするよりハイブリット化の方が演算はむしろ早いくらいです。梱包設計向けデータの軽量化では、重たい設計データから梱包空間を算出し、簡単な形状に置き換えます。従って製品が出来上がる前に梱包設計が完了することになり、出荷までの工数が数カ月単位で短縮されます。このように我々が想像する以上に3D化が進んでいます。形状を作る以外の工程を自動処理することで3次元CADに依存しない環境を構築しています。そして3次元CADの生データではなくJTフォーマットを会社の資産として運用し始めています。おおまかに3DAモデル化(3D正)で40%の工数削減、3DAモデルの活用で10%の工数削減をダイムラー社は実現しています。このことは現地の人間に確認したところドイツはみな同じとのことです。設計製造工数が削減した分、ダイムラー社は車種を倍増することを発表しています。ところが向上のキャパシティはそのままですからマスカストマイゼーションを行うと思われます。つまり在庫を持たず受注生産を行います。生産台数を増やさず利益率を増やし生活を豊にする考え方です。これこそがインダストリー4.0の最終目的です。

3D_Evolution