3D図面

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3D図面

3D図面とは

欧州の航空宇宙産業、自動車産業は、3D図面の運用に取り組みインダストリー4.0の具現化を目指しています。3D図面の目的は、生産性の向上、設計資産の継承、PL法対策です。日本国内でも3D図面に対する動きが出てきていますが、技術や仕組みが不足しています。3D図面化の技術や仕組みは、10年先、20年先を見据えた長期的に持続可能なものでなくてはなりません。欧州では、確実に3D図面化が進み製造業の利益率と生産性が上昇し、国民一人当たりのGDPが上昇しています。3D図面化により設計、製造コストは約50%減と言われています。3D図面化に成功したダイムラー社のCEOは、2016年は、ダイムラー社始まって以来の素晴らしい年になったとのインタビューがありました。ダイムラー社の成功テクノロジーは、JTフォーマット変換、XML BOM化、曲面オフセット、干渉チェック、3Dデータ比較、3Dデータ軽量化のバッチ処理です。

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3D図面のタイプ

● 3D図面(3Dモデル + PMI情報)

3Dデータに3Dアノテーションを付加する方法です。この方法は、欧州ではドイツ自動車業界(VDA)や航空宇宙業界で採用されています。ドイツ自動車業界はアセンブル情報をXMLフォーマット、Brep情報をJTフォーマットで3D図面化を行っています。エアバス社は、CATIA V5データに3Dアノテーション付きで3D図面化を行っていましたが長期保存を考慮し現在は、STEP AP242の3Dアノテーション付きで3D図面を展開し、そのまま長期保存を行っています。JTフォーマットの長期保存については、内部情報をSTEP AP242に切り替えることでの対応を模索しています。


● 3D図面(3Dモデル)+ 簡易2D図面(公差情報と文字情報)

3Dデータと簡易図面のセットで出図する方法です。この方法は、現状から1歩進んだ方法でサプライチェーンが複雑な日本事情に合った方法と考えられています。複雑なサプライヤーチェーンを持つ国内では、紙図面は契約書の考え方があります。簡易図面には、公差情報と文字情報を記述し、製造現場で再利用が可能です。この方法は、3D図面化による工数削減効果がありながら現状の製造スタイルを崩さない方法で移行も容易です。


3D図面の前提条件

● 物理モデル(ソリッド化)を作成する

すべての3Dデータをソリッド化します。設計情報としてマスプロパティ情報は重要で、コスト計算・強度計算・シミュレーションに必要です。また干渉チェック計算においても物理モデルは必須です。ソリッド形状は、ビューワで確認した場合に誰でも視認が容易です。でも全社的にロボットシミュレーションや梱包設計等の後行程でソリッド形状は有益です。


● 干渉チェックを完了させる

3次元CAD設計のメリットは、3Dデータにより干渉チェックが可能となり、試作回数が減ることです。ところが3次元CADの性能はそのレベルに達していません。3D図面化を行う場合に干渉しているパーツを正とすることはできません。従って干渉チェックマストです。海外では、この問題を解決して3D図面化を行っています。キーテクノロジーは、バイナリー解析・アウタートレランス計算・オフセット計算です。バイナリー解析技術は、ビッグデータを高速に読み取る技術、アウタートレランス計算は、干渉部品を高速に検索する技術、オフセット計算は、部品を内側にオフセットすることにより接触部分を除外する技術です。


3D図面のフォーマット

● STEPフォーマット(AP242)

航空宇宙産業(LOTAR)とISOが連携して開発した3D図面、長期保存まで対応しているフォーマットです。格納情報は、Brep、PMI、Tessellation、GVP、AVP情報が格納できます。GVP、AVPは、変換保証を行う情報でGVPは形状変換保証(Geometry Validation Property)、AVPはアセンブル変換保証(Assembly Validation Property)です。アセンブル情報は、XML言語によるBOM化が可能です。圧縮フォーマットもあり、拡張子はstpZです。


● JTフォーマット

ドイツ自動車産業(VDA)で使用されているフォーマットでJT Openで一般化を進めているフォーマットです。格納情報は、Brep、PMI、Tessellationです。Tessellation情報は、粗さを変えて3段階の情報を格納できます。アセンブル情報は、XML言語によるBOM化が可能です。


注意)3次元CADフォーマットの生データによる3D図面はリスクがある

3D図面の目的は、全体的な工数削減と設計資産の保全を計ることです。3次元CADのネイティブフォーマットで3D図面を運用した場合に、3次元CADの維持コストが発生します。また3次元CADメーカの統廃合により設計資産が継承されに難くなります。


3D図面運用の成功例

3D図面の成功例としてエアバス社とダイムラー社の事例があります。3D図面は、コスト削減に大きく寄与しています。


▼ エアバス社の3D図面

エアバス社は、現在メインCADとしてCATIA V5を運用しています。3D図面は、2016年8月以前は、CATIA V5にPMIを付加して3D図面を運用し、長期保存する場合はSTEP AP242に変換していました。2016年9月以降は、CATIA V5にPMIを付加し3D図面としてSTEP AP242で対応しています。同一性検証はGVP、AVPで行い、長期保管年数は55年となっています。


▼ ダイムラー社の3D図面

ダイムラー社は、現在メインCADとしてNXを運用しています。3D図面はJTフォーマットで対応しています。JTフォーマットには、同一性検証機能がないため変換されたJTフォーマットがマスターとなっています。ダイムラー社は、3D図面運用のテスト中にCATIA V5からNXへメインCADを移行しました。メインCADを移行しても3D出図以降の工程に影響がないことを確認しました。このことにより3次元CAD依存環境からの脱却とCADコストの削減が行われています。

3D図面の運用

欧州事例:3D図面による工数削減プロセス

工数削減

① 干渉解析

DMUインスペクターにより、設計データを監視し差分干渉チェックを行います。接触部分を除外し致命的な干渉を抽出しグラフィカルに表示します。

② 3D出図

XML BOMと3D図面を出力します。XML BOM形式は2種類存在し、VDAはPLMXML形式、エアバスはAP242 XML形式です。3D図面フォーマットとしてJTフォーマットとSTEP AP242フォーマットが運用されています。3D図面形式は、おおむねドイツは3D単独図、フランスは3Dデータ+簡易図面となっています。日本では、図面は契約書の意味もあり、3Dデータ+簡易図面が適切と考えられます。簡易図面は、幾何公差、寸法公差、加工情報など製造に必要な情報を書きます。3次元空間上の文字情報は見づらいものです。

③ 形状簡略化

 形状簡略化でアセンブルの外観抽出を行います。3Dデータが軽量化されロボットシミュレーションや梱包設計に効果があります。特に梱包設計のフロントローディングによる工数削減効果は大です。システム的に形状簡略化を実行するため設計変更にも追従します。

④ 付加製造

新しい製造方法により設計工数や製造工数の削減、製品の品質向上が可能です。最近の付加製造では、積層と5軸加工を組み合わせることで複雑な形状を精度よく加工することが可能です。この技術により複数で構成される部品が、1個の部品に集約することが可能となり、設計の自由度が増します。