3D図面体制の比較 自動車 vs. 航空機

3D図面体制の比較 自動車 vs. 航空機

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3D図面体制の比較 自動車 vs. 航空機

3D図面体制の比較 自動車 vs. 航空機について

◆ 3D図面体制の概要

3D図面技術は、製造業を中心に世界的に普及してきました。しかし、その採用するフォーマットや方針は、国や業界、企業によって異なる場合があります。特に、ヨーロッパの航空機製造業界と自動車製造業界において、そのアプローチの違いが顕著に見られます。

エアバスは、国際標準化機構(ISO)が開発したSTEP AP242フォーマットを採用しています。このフォーマットの特長は、変換時におけるデータの完全性と同等性の確保にあります。航空機製造における事故解析やシミュレーションの際、オリジナルのCADデータが必要とされることが多いため、エアバスはこのフォーマットの採用を決定しました。

対照的に、ドイツ自動車工業会(VDA)は、JTフォーマットを採用しています。このフォーマットは、データの軽量化と高速な交換を可能とすることを主目的としており、特に自動車製造業界のように、大量の部品データや設計情報を迅速に共有する必要がある場面での利点が大きいとされています。

日本の航空産業に目を向けると、三菱航空機がかつて3D図面の普及を推進していました。現在、日本の航空産業は、ボーイングやエアバスといった海外の大手航空機メーカーとの連携を深めており、その結果として、3D図面化もボーイングやエアバスの方針に基づいて進められています。これは、日本の航空産業が国際的な標準や方針に合わせて業務を展開していることが背景にあると考えられます。

このように、3D図面技術の採用とその背景には、業界や国による様々な要因が影響しており、それぞれの状況やニーズに応じたアプローチが取られているのが現状です。

3D図面体制の比較 自動車 vs. 航空機

2023年10月

◆ 航空機産業と自動車産業における3D図面の運用:各業界の特性と取り組み

製造業界の中でも、航空機産業と自動車産業はそれぞれ特有の製造工程や焦点を持っており、3D図面の取り扱い方法もそれぞれのニーズに合わせて異なります。

航空機産業の製造においては、精度や組み立ての正確性が極めて求められます。飛行する機器であるため、部品の加工精度や組み立ての正確性が生命線となるのです。各部品や組み立てプロセスが持つ設計データは製造プロセス全体に影響を与えるため、そのデータの正確性が非常に重要となります。この業界では、国際標準化機構(ISO)が提唱するSTEP AP242フォーマットを採用。このフォーマットを使用することで、設計データの一貫性や同等性が確保され、長期的なデータの保持や再利用も可能となります。

対照的に、自動車産業は複雑な組み立て工程や多種多様な部品を用いる金型製造が中心となります。この業界の製品は、日常の移動手段として使われるため、生産量やバリエーションが多く、製品ライフサイクルも短いのが特徴です。そのため、金型製造や製造プロセスの効率化、短期間での製品変更に対応できる柔軟なデータ管理が求められます。シーメンスが開発したJTフォーマットは、このような要求に適した形式として採用されており、さまざまな技術要求や製造情報を迅速に追加・変更することが可能です。

これらの違いは、単に一方が他方よりも優れているというわけではなく、それぞれの業界が直面する課題や要求に基づいて、最適な3D図面の取り扱い方法を選択していることを示しています。

2023年10月