3D図面の比較 STEP AP242 vs. JT

3D図面の比較 STEP AP242 vs. JT

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3D図面の比較 STEP AP242 vs. JT

3D図面の比較 STEP AP242 vs. JTについて

◆ 3D図面比較の概要

3D CADデータの交換と保存に関する標準は、産業界でのデータ互換性や持続的な利用を実現するための重要な要素となっています。その中でも、STEP AP242とJTフォーマットは、異なる背景と目的を持ちながら、業界で広く採用されている代表的なフォーマットです。

STEP AP242はISOにより策定され、航空宇宙業界をはじめとする多くの産業で採用されています。長期的なデータ保存を前提とし、持続的なデータ利用を目指すための標準として位置づけられています。その主な特長は、データの完全性や高精度な変換能力、特にアセンブリ情報の正確な変換と検索性の高さです。

一方、JTフォーマットはシーメンスによって開発され、特に自動車産業を中心に、迅速なデータ交換を重視するプロジェクトでの採用が進んでいます。このフォーマットのメリットは、データの軽量化による高速な交換が可能である点です。しかし、高精度な変換や一部のデータ情報の完全性に関しては、STEP AP242と比べると劣る面があるとされます。

データの長期保存やその後の持続的利用を考慮する場面では、STEP AP242の採用が推奨されます。一方、短期的なプロジェクトや迅速なデータ交換を優先する場面では、JTフォーマットが適していると言えます。ただし、JTフォーマットを用いたプロジェクトでも、最終的なデータの長期保存に関しては、STEP AP242への変換が検討されることが多いです。

総じて、STEP AP242とJTフォーマットはそれぞれの特性や用途に応じて選択され、業界のデータ交換と保存の標準として、補完的に活用されています。

3D図面の比較 STEP AP242 vs. JT
STEP AP242 JT
形状情報(*1)
アセンブリ情報(*2)
PMI情報
表示情報(*3)
属性情報
圧縮フォーマット
製品データ同等性検証情報(*4)
信頼性(*5)
#1 JTのBrepは、Parasolidのため曖昧表現があります。
#2 XMLフォーマットでBOMを作成します。
#3 JTは、精度の違う表示情報を3つ持てます。
#4 STEP AP242は、長期保存フォーマットを兼ねていますので変換保障付きです。
#5 STEP AP242は、ISOから変換フォーマットとしての認定を受けています。

2023年10月

◆ 3D図面の国際標準: STEP AP242の特徴と利点

近年の製造業のグローバル化の中で、異なるCADシステムやプラットフォーム間でのデータの互換性が求められています。この背景のもと、STEP AP242フォーマットは国際標準化機構(ISO)と航空宇宙団体(LOTAR)によって策定され、業界の標準として普及しています。

このフォーマットの最大の特徴は、製品の形状、製造情報、アセンブリ構造を一つのファイルで表現できることです。Brep、PMI、Tessellationといった情報が統合されており、設計から製造までのプロセスをシームレスにつなぐことが可能になります。

GVPとAVPは、データの品質と整合性を確保するための重要な機能です。異なるCADシステム間でデータを移行する際、これらの情報が正確に保存されることで、デザインの意図や製品の品質が維持されます。

また、BOMの情報はXMLを用いて構造化されるため、部品の管理や追跡が効率的に行えます。特に、サプライチェーンを通じての部品の追跡や製品のライフサイクル管理において、この機能は非常に価値があると言えます。

STEP AP242フォーマットはテキストベースであるため、データの検索やフィルタリングが容易になり、PDMシステムとの統合もスムーズに行えます。

ただし、データ量の増加は一つの課題として挙げられますが、圧縮フォーマットの導入により、効率的なデータ管理と高速なデータ転送が可能となっています。

総じて、STEP AP242フォーマットは、現代の製造業のニーズに応える高機能な3Dデータフォーマットとして、多くの企業や業界で採用されています。

2023年10月

◆ JTフォーマットの特徴と製造業での活用

JTフォーマットは、Siemens PLM Softwareによって開発された3Dデータフォーマットであり、製造業界を中心に広く採用されています。その主な目的は、異なるCADソフトウェアやプラットフォーム間でのデータ交換を効率的に行うことです。このフォーマットにより、複雑な製品データの表現、共有、可視化、およびコラボレーションが可能となります。

JTフォーマットの一つの特徴として、3Dモデルの幾何学的表現や製品製造情報(PMI)、メタデータ、アセンブリ構造といったさまざまな情報を一つのファイル内に統合できる点が挙げられます。さらに、このフォーマットは軽量化されたテッセレーションデータを取り入れることができるので、大規模で複雑な3Dモデルでも迅速に可視化することができます。

また、異なるCADシステム間でのデータ互換性を実現するこのフォーマットは、製造業のサプライチェーン全体で、特にOEM(Original Equipment Manufacturer)とサプライヤー間でのデータ交換のスタンダードとして広く利用されています。組織内外でのデータの共有やコラボレーションが容易になるため、設計から製造、検証に至るまでの工程が大きく効率化されます。

2023年10月