国際標準化機構(ISO)

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国際標準化機構(ISO)

国際標準化機構(ISO)について

◆ 国際標準化機構(ISO)の概要

国際標準化機構(ISO)はその名が示す通り、世界的な統一基準の制定を目指す非政府組織であり、その標準は産業から技術、安全性に至るまで多岐にわたります。ISOが設定する基準の一つ一つは、国境を越えた業界の共通言語となり、世界の異なる地域で開発された製品やサービスが滑らかに連携し、相互運用可能になるための架け橋の役割を果たしています。

3D図面の分野では、特にISO 10303、すなわちSTEPが重要な位置を占めています。この規格は、製品データの交換を目的としており、特に3D CADデータに関しては、その互換性と再利用性を保証するための国際的なデファクトスタンダードとなっています。例えば、航空宇宙業界から自動車産業に至るまで、幅広い分野でこの標準に従ったデータ交換が行われており、これにより製品のライフサイクル全体を通じたデータの一貫性が確保されています。

ISO 14306は、より軽量な3Dデータ表現を可能にするJTファイルフォーマットを標準化しています。これは特に複雑なモデルを扱う際の効率化に貢献し、大規模なアセンブリやメタデータの管理を容易にしています。さらに、ビジュアル化データを含めることで、3Dモデルの視覚的な検証も簡単に行えるようになります。

一方で、ISO 32000における3D PDFの標準化は、3DモデルをPDF形式で直接扱うことを可能にし、CADソフトウェアがない環境でも3Dデータの閲覧や検証が行えるようにしています。これは、設計から製造、販売に至るまでの様々なプロセスで3Dモデルを活用する際のアクセシビリティを大幅に向上させています。

ただし、JTや3D PDFにおけるテセレーションデータの取り扱いについては、座標ポイントデータとしての処理が行われ、情報の誤差を最小限に抑えることができます。これは、モデルから平面や曲面などのジオメトリを細かい多角形で近似するプロセスを意味し、データがより軽量かつ扱いやすい形で保持されます。

しかし、CADデータの精密な形状情報(Brep)に関しては、STEP AP242が変換のための唯一認められた標準です。この高い精度を持つ形状データの交換は、特に精密な製造やエンジニアリングが必要とされる分野でのコミュニケーションと一貫性を維持するために不可欠です。

総じて、ISOのこれらの標準は、製造業やデザイン業界のデータ交換のプラットフォームとして機能し、異なるソフトウェアやシステム間の連携を促進することで、業界全体の効率性と品質の向上に寄与しています。国際的な取引や協力が一般化する現代において、ISOの役割はますます重要になっており、技術的な標準化が経済とイノベーションの発展を支える基盤となっています。

2023年11月

◆ 10303-59 品質検証(PDQ-S)について

国際標準化機構(ISO)が定めるISO 10303、すなわち「STEP」(Standard for the Exchange of Product model data)は、製品データの表現と交換に関する一連の規格です。この規格体系は、製品のライフサイクル全体にわたる情報の一貫性とアクセスを可能にするために、多岐にわたる部分に細分化されています。各部分は、特定のアプリケーションフィールドやデータの側面に特化しており、業界特有のニーズに対応するための詳細なデータモデルと方法論を提供しています。

その中の「10303-59」は、材料情報とエンジニアリングプロパティの表現を取り扱う部分で、その公式な名称は「ISO 10303-59: Integrated generic resources: The material and other engineering properties representation」とされています。この規格は、材料の物理的、化学的、熱的性質とそれらが製品のパフォーマンスに及ぼす影響を詳細に記述し、これらのデータを他のシステムやアプリケーションと交換できるようにするための共通のフレームワークを確立しています。

ISO 10303-59は、特に製品デザインや製造のプロセスで使用される材料情報の標準化において重要な役割を果たします。材料の選定は、製品の品質、性能、耐久性に直接関係し、それらを適切に文書化し、共有することは、複雑な製品システムの効率的な管理と運用に不可欠です。この標準によって提供されるデータモデルと方法論は、異なる組織やプラットフォーム間での材料情報の交換を容易にし、エンジニアリングチームが異なる材料の特性を比較し、最適な選択を行うための情報にアクセスできるようにします。

製品の設計段階においては、適切な材料の選択が製品の全体的なパフォーマンスを決定付けるため、この標準に基づく情報共有は設計の質の向上に直結します。また、製造プロセスにおいては、材料の特性を正確に理解し、活用することが製造コストの削減、生産効率の向上、環境への影響の最小化に寄与します。さらに、サプライチェーン全体での材料情報の透明性が保たれることで、リスクの管理とコンプライアンスの確保がより効果的になります。

総じて、ISO 10303-59は製品情報の標準化における重要な部分を担い、エンジニアリングと製造の世界において材料情報の一貫した表現、確実な交換、および再利用を促進することで、製品開発の質と効率を向上させるための基盤を提供しています。このような標準化は、グローバル市場における競争力を維持し、イノベーションを加速するためにも不可欠です。

2023年11月

◆ 10303-62 同等性検証(Equivalence) について

ISO 10303-62は、製品データの交換のための国際的な標準であるSTEPの一部です。この部分は特に航空宇宙と防衛産業で使用される電子技術データのモデリングと表現に焦点を当てています。具体的には、この規格は電子部品、回路、配線などの情報を標準化された形式で管理し、異なるシステム間で効率的に交換できるようにするためのフレームワークを提供します。

これは航空宇宙と防衛産業におけるプロジェクトがしばしば国際的な協力を要するため、多様なデータフォーマットやシステムを持つ多くの異なる組織が参加している複雑な環境において、特に重要です。ISO 10303-62による標準化は、これらの団体間での通信と協力を促進し、データ交換プロセスの信頼性と効率を高めることを目的としています。

また、マスプロパティ情報の計算に関しては、異なるCADシステム間での一貫性の問題を解決するため、CAx-IFが統一されたアルゴリズムの開発に関わっています。Dassault SystemsのCADソフトウェアや3D Evolution、3D Analyzerといったツールがこれを実装していることは、業界標準としての互換性を高める上で大きな一歩です。

EN9300という規格は、CADデータの品質と正確性を担保するためにダブルカーネルチェックを導入しています。これは、データが異なる計算カーネルによって生成された場合でも、それが一貫した結果をもたらすことを保証する手法であり、データの信頼性を高めるために重要です。

これらの規格は、製品の開発、設計、製造プロセス全体でのデータの正確性、信頼性、互換性を確保するために、極めて重要な役割を果たしています。航空宇宙や防衛産業では特に、これらの要素が製品の安全性と性能に直接影響するため、標準化されたプロセスとデータ交換は業界全体の効率と品質を支える基盤となります。

2023年11月